「AIが議事録からToDoを出してくれたんですけど、これで合っているのか、確かめようがなくて。」
チャットとAIが入った職場で、企画や変革を進める担当者、チームを預かる管理職から、こうした言葉を聞くことが増えました。タスクの一覧はある。AIが抽出もしてくれる。それなのに、完了したのかどうか曖昧なタスクが溜まり、どれから手をつければよいのかが、かえって見えなくなっている。そんな感覚に、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
仕事を効率化するために、メールからチャットへ移行し、タスク管理ツールやAIを導入してきた企業も多いでしょう。こうしたツールによって業務は便利になったものの、ToDoの整理や進め方に課題が残っているケースもあります。その原因を考えるとき、私たちはつい「もっと良いツールが必要なのではないか」「AIを十分に使いこなせていないのではないか」と、道具の側に解決策を求めがちです。
結論を先に言うと、ToDoが片づかないのは、道具が古いからではなく、「そもそも何をやるべきか」を自分の頭で組み立てる最初の工程が、AIに渡した瞬間に抜け落ちているからではないか。 私たちは、そう考えています。
そして、その工程は、デジタルの画面の中よりも、大きな紙やホワイトボードの上のほうが進みやすい。思考の大きさは、紙の大きさに連れて変わるように見える。これは私自身の実感であり、同時に、周りで仕事の鋭い人たちを見てきた観察でもあります。
この記事では、AIを使ってもToDoが片づかない理由を、道具の性能ではなく「工程」の側から考えます。そのうえで、ToDo整理の3つの段階とAIが得意な段階、紙の大きさで思考が変わる理由、立場ごとにデジタルへ寄ってしまう事情、人に残る仕事を見分ける物差し、読み終えてすぐできる10分のワークまで整理します。AIを手放す話ではなく、AIに渡す前の10分を、紙に戻す話です。
1. AIでToDoを整理しても、仕事が進まない理由
AIにToDoを出してもらうこと自体は、間違っていません。会議の録音から決定事項と宿題を拾い出し、担当と期限を並べる。人が聞き漏らした一言も、AIが拾ってくれることがあります。議事録を手で書いていた頃に比べれば、ToDoが一覧になるまでの時間は、確かに短くなりました。
ただ、AIに渡すだけでは残る問題があります。出てきたToDoが合っているかどうかを判断するには、その仕事の全体像を把握している必要があります。全体の構造が頭にないまま議事録を渡すと、もっともらしいToDoの一覧が返ってきます。けれど、それが本当に今やるべきことなのか、抜けている論点はないのか、順番は正しいのか。確かめる物差しが、受け取る側にありません。
もちろん、AIの精度が低いという話ではありません。AIはそれらしい一覧を速く作ることができます。だからこそ、受け取る側に全体像がないと、一覧の正しさを疑う入口がなくなります。つまり、問題は出力の質だけではなく、出力を受け取る前の工程にもあるのではないでしょうか。
全体像のないToDoは、どれだけ速く出てきても、検証できません。
ただし、ここで言いたいのは「AIにToDoを任せるな」ということではありません。アクションを分解し、期限と担当を並べ、文面や集計を整える工程では、AIを活用することで効率化が期待できます。問題にしたいのは、その手前の、「何をやるべきか」を決める工程のほうです。
では、その工程は、なぜ抜けやすいのでしょうか。その前に、私自身が最近やり直した場面を、材料として置かせてください。
2. 紙に書き出すことで見えてくるもの
私の会社では、AIが毎朝、予定とタスクを整理し、記事の下書きを作り、メールの下書きまで用意する運用をしています。ToDoの管理も、長いあいだデジタルの中で完結させてきました。チャットで依頼が来て、AIが拾い、一覧に載る。その流れに不満はありませんでした。
ところが先日、海外の大学から来たインターン生にもらった、A4より少し横長の大判ノートを開いて、久しぶりにToDoを手で書き出してみました。おそらく1年以上ぶりです。やったことは単純で、頭の中にあるものを、片隅の小さなことまで含めて、紙の上に全部並べただけです。
実際に紙へ書き出してみると、仕事の進み方が明らかに違うと感じました。デジタルの一覧は、すでに出ているToDoを処理するには便利ですが、紙の上では「そもそもこの仕事はどういう構造になっていて、何をやらなければいけないのか」という、ToDoの手前にある問いにも向き合いやすくなります。
また、紙に書き出すことで、頭の中にあったToDoを客観的に捉え、仕事の全体像を俯瞰できるようになったことも大きな発見でした。一つひとつのタスクに追われていると見落としがちな目的や優先順位も、紙の上に並べることで整理しやすくなります。その結果、「そもそも何のためにやるのか」「何から手をつけるべきか」が明確になり、次のアクションにもつなげやすくなりました。
この経験を通じて、ToDoを整理するには、単にタスクを一覧にして処理するだけでは不十分なのではないかと感じました。ToDoの整理には、AIに任せられる工程と、人が自分の頭で考えるべき工程がある。 この2つを区別することが、AIを活用しながら仕事を前に進めるための重要なポイントだと考えています。
では、その工程は、どう分けられるのでしょうか。
3. ToDo整理を3つの段階で考える
私たちは、ToDoの整理を、「0→1」「1→10」「10→100」の3つの段階に分けて見ています。学術的な分類ではなく、実務のなかで整理したフレームワークです。
- 0→1: いま仕事がどういう構造になっていて、何をやらなければいけないのかを洗い出す段階。目的と前提をここで置く。
- 1→10: 洗い出した論点のそれぞれに対して、どう向かうかという方針を一本で立てる段階。
- 10→100: 方針を具体のアクションに分解し、期限と担当を付け、文面や集計や資料に落とす段階。

このフレームは、「ToDoの一覧の中で、どの段階が抜けているか」を見るためのものです。すべての仕事を説明できるわけではありません。たとえば、やることが最初から決まっている定型の業務では、0→1に多くの時間をかける必要はありません。また、そもそも時間が足りなくて手が回らない場合は、工程の問題ではなく量の問題なので、ここでは扱いません。
三つのうち、AIとデジタルが特に得意なのは10→100です。1→10も、全体の構造と方針を握れている人であれば、デジタルを活用して進められると思います。けれど、0→1では、まず人が自分の頭で考えることが重要です。 この段階は「書き出して、眺めて、組み替えて、また書き出す」という試行錯誤と更新の繰り返しだからです。
たとえば、年末に向けて役員会に出す提案を組み立てるなら、「どんな論点が要るのか、それはなぜか、役員は何を知りたがっているのか」を、まず人間の側で棚卸しする必要があります。
AIに渡す前に、何をやるべきかを考える。その最初の工程を飛ばすと、出てきたToDoを検証する物差しがなくなってしまいます。
ここでいう「0→1」とは、新規事業やイノベーションの話ではありません。自分の目の前の仕事について、「何をやるべきか」を自分の言葉で置き直す、という日常の動作のことです。
では、なぜその段階は、画面の中より紙の上のほうが進みやすいのでしょうか。
4. なぜ、大きな紙で考えるのか?
私は、思考の大きさは紙の大きさに連れて変わるのではないか、と考えるようになりました。
メモ帳のサイズでは、頭に浮かんだことを書き留めるだけになりがちです。一方、A4や大判のノートには、頭の片隅にあったことまで書き出し、考えを発展させる余白があります。さらに、ホワイトボードや模造紙になると、複数の要素を並べて関係性を整理しながら、仕事の全体像や方針まで描けるようになります。

なぜ、紙の大きさによって思考の進み方が変わるのでしょうか。私は、物理的な余白を目で見ることが、思考の余白にもつながっているのではないかと考えています。これは科学的な因果関係として示されたものではなく、実務の中で感じてきたことです。
デジタルの画面では、情報が増えればスクロールしたり、表示を縮小したりして、作業領域を広げられます。便利である一方、全体を一度に見渡しにくくなることもあります。対して紙には物理的な範囲があり、その限られた空間の中に情報を配置することで、考えを整理しやすくなると感じています。
また、紙とデジタルの違いは、余白の大きさだけではありません。私たちは、次の4つの特徴に注目しています。
- ・余白が目に見えること: 紙は使える範囲が決まっているため、情報の全体像を視覚的に捉えやすい。デジタルでは作業領域を広げられる一方、全体を見渡すには表示方法を工夫する必要があります。
- ・書き直せること: ホワイトボードなら、書いたものを消したり、配置を変えたりしながら考えられます。「何度でもやり直せる」という気楽さが、試行錯誤を後押しします。
- ・図解にすぐ移れること: 文字だけでは整理しきれないときも、紙ならその場で矢印や図を書き足せます。デジタルでは、使っているツールによっては図解のために別のアプリを開くなど、一手間が必要になります。
- ・補助輪がないこと: AIのように考えを整理したり、答えの候補を示したりする存在がいないため、自分で問いを立て、考えを進める必要があります。その過程で、前提や目的のズレに気づくこともあります。

この4つの中でも、私が特に重要だと考えているのは、最後の「補助輪がないこと」です。
AIを使えば、考えを整理した文章や、それらしい答えを短時間で得られます。ただ、出てきた答えを十分に検証しないまま受け入れると、自分自身で考えを深める機会が少なくなることもあります。
例えば、複雑な責任の切り分けを検討する際、最初から資料作成ソフトで整理しようとしても考えがまとまらず、紙に場合分けを書き出すことで、ようやく全体像が見えてきたという話があります。
こうした作業には時間も手間もかかります。しかし、すぐに答えを出そうとするのではなく、複雑な問題の構造を自分の頭で理解することに、その手間の価値があるのではないでしょうか。
紙は、重力のある地球のようなものです。一方、デジタルとAIを組み合わせた環境は、無重力空間に似ているかもしれません。軽やかに進める反面、自分で進んでいるのか、便利な道具に流されているのかが分かりにくくなることもあります。
もちろん、ここで伝えたいのは、デジタルをやめて紙に戻るべきだということではありません。具体的なアクションを整理し、実行する「10→100」の段階では、デジタルやAIの利点を十分に活用できます。大切なのは、すべてを紙で行うことではなく、「0→1」の段階で自分の頭を使って考える時間を確保することです。
では、なぜ多くの職場では、その時間を確保することが難しいのでしょうか。
5. 「考える時間」がなくなる職場の共通点
仕事の全体像を整理し、何をやるべきかを考える「0→1」の工程は、重要だと分かっていても後回しになりがちです。その理由は、個人の能力や意識だけでなく、職場での役割や仕事の進め方にもあるのではないでしょうか。
例えば、同じようにデジタルツールを使っていても、担当者、管理職、経営企画などの企画部門では、直面している状況が異なります。
- 担当者: チャットで次々に依頼が届くため、目の前のタスクを順番に処理することが優先されやすくなります。その結果、仕事の全体像を整理したり、優先順位を見直したりする時間が確保しにくくなります。
- 管理職: 部下のToDoをデジタルの一覧で管理していると、進捗状況や期限に目が向きやすくなります。一方で、そもそも必要なタスクが揃っているか、仕事の進め方そのものが適切かを考える機会は、意識して設けなければ不足しがちです。
- 経営企画や企画部門: 役員会の資料作成や社内調整など、複数の業務が重なると、AIによる下書きや資料作成の効率化が役立ちます。ただし、効率化によって生まれた時間を、論点や目的を考え直すことに使えているかは、別の問題です。
もちろん、これらはすべての職場に当てはまるものではありません。しかし、立場ごとの事情を考えると、「0→1」の工程が抜けてしまう背景には、仕事の進め方や組織の仕組みが関係していることが見えてきます。
例えば、担当者が目の前のタスク処理を優先する背景には、処理の速さや件数が評価されやすい環境があるかもしれません。管理職が期限や進捗を重視するのは、管理ツールの一覧に、仕事の目的や構造を確認する項目がないからかもしれません。また、企画部門では、資料を完成させる時間は予定されていても、そもそもの論点を考え直す時間は、業務の工程として確保されていないことも考えられます。
こうして見ると、問題は単に「個人が十分に考えていないこと」ではないように思います。つまり、0→1の工程が抜けてしまうのは、個人が考えることを怠っているからではなく、 組織の仕事の進め方の中に、「考える」という工程が明確に位置づけられていないことが、課題の一つなのではないでしょうか。
AIやデジタルツールによって業務の処理速度が上がっても、何をすべきかを整理する工程がなければ、曖昧なToDoが残り続ける可能性があります。だからこそ、ツールの導入とあわせて、考える時間をどこに設けるのかを見直すことが重要です。
「0→1」の工程を個人の工夫だけに任せず、仕事のプロセスとして組み込めているか。 これは、AIを活用する組織にとって、考えておきたい問いの一つです。
では、自分の仕事にその工程があるかどうかは、何を見れば分かるのでしょうか。
6. 自分の仕事に「考える余白」はあるか?
自分の仕事に「0→1」の工程があるかどうかを考えるとき、私たちは一つの問いを大切にしています。
「最近、紙に書き出さないと頭の中が整理できないような難しい仕事はありましたか?」
もし、そのような仕事があったなら、何をすべきかを考えたり、複雑な問題の構造を整理したりする機会があったということかもしれません。一方、思い当たる仕事がなかった場合には、二つの可能性があります。本当に定型的な業務が中心だったのか、あるいは、複雑な仕事も十分に立ち止まって考えず、AIやデジタルツールの中で処理していたのか、ということです。
この問いは、自分が新しい課題に向き合えているかを考えるきっかけにもなります。
これまで経験したことのない問題や、正解が一つに定まらない課題に取り組むときには、既存の手順だけでは答えが出せないことがあります。そうした場面では、何度も書き出し、考えを組み替えながら、問題の構造を整理する必要があるでしょう。
もちろん、紙に書く機会がなかったからといって、新しいことに取り組んでいないとは限りません。デジタルツールの中で十分に思考を深められる人もいますし、仕事の内容によって適した方法も異なります。
ここで大切なのは、紙を何枚使ったかではありません。複雑な課題に直面したとき、いつもの作業方法から一度離れ、自分の頭で問題の全体像を捉え直す機会を持てているかどうかです。
もし今週の仕事を振り返って、思い当たる場面がなければ、一度立ち止まって考えてみてもよいかもしれません。紙に書きたくなる仕事が一つもない週は、仕事が片づいたのではなく、問いが届いていないのかもしれません。処理すべきタスクに追われる中で、本来向き合うべき問いを見落としていないでしょうか。
では、こうした「考える工程」を日々の仕事の中に取り戻すには、何から始めればよいのでしょうか。
7. 10分でできる、ToDo整理術
ここまでの考え方を、実際の仕事で試してみましょう。新しいアプリを導入する必要はありません。用意するのはA4の紙一枚とペン一本だけです。10分ほどあれば、自分のToDoのどの段階に課題があるのかを振り返ることができます。
まずは、次の手順で進めてみてください。
- 最初の2分: A4の紙を一枚、横向きに置きます。ToDoの一覧やチャットはいったん閉じて、目の前の紙に集中しましょう。
- 次の4分: 頭の中にあるToDoを、細かなことまで含めて書き出します。「やらなければいけないこと」だけでなく、「やりたかったこと」も混ぜて構いません。
- 次の3分: 書き出したToDoを「0→1(何をやるか自体が決まっていない)」「1→10(方針を決める必要がある)」「10→100(やることが決まっている)」の3つに分類します。
- 最後の1分: 以下の5項目を確認し、当てはまるものに印を付けます。
□ 書き出してみると、デジタルの一覧に載っていなかったToDoが3つ以上あった
□ 「0→1」に分類したToDoが、一つもなかった
□ 「0→1」のToDoに、着手する予定が入っていなかった
□ 書いている途中で、「これはそもそも何のためにやるのか」と疑問に思ったToDoがあった
□ 紙一枚では足りず、裏面や二枚目に書き続けた
チェックを付けた項目から、自分のToDoの整理方法を振り返ってみましょう。デジタルの一覧にない仕事が見つかった場合は、タスクの洗い出しが十分だったかを確認します。「0→1」の仕事に着手予定がなければ、考える時間を確保してみてください。また、仕事の目的に疑問を感じた場合は、具体的な作業を進める前に、何を達成したいのかを整理し直すことが重要です。
一方、「0→1」のToDoが一つもなかったことや、紙一枚では書ききれなかったこと自体が、問題を意味するわけではありません。大切なのは、チェックの数ではなく、書き出した内容から、自分の仕事の進め方について何に気づけたかです。
ただし、このワークはToDoの多さや仕事の能力を採点するためのものではありません。確認したいのは、日々の仕事の中に「何をやるべきか」を考える工程があるかどうかです。トラブル対応や締切直前の仕事など、すぐに行動することが優先される場面は、無理に立ち止まる必要はありません。
まず一つだけ始めるなら、明日の朝、スマートフォンを見る前にA4の紙へ頭の中のToDoを書き出してみてください。いつもの一覧だけでは気づかなかったことが、見えてくるかもしれません。
では、こうした思考の習慣は、AI時代の働き方にどのような意味を持つのでしょうか。
8. AI時代に求められる「愚直さ」とは
AIが職場に浸透するにつれて、人間に求められる仕事のあり方も変わっていくと考えています。
目の前の課題に対して答えの候補を示すこと、情報を整理して言語化すること、方針を具体的なアクションに分解すること。こうした仕事では、AIの能力を活かせる場面が増えています。では、その先に人間が担うべき仕事は何でしょうか。
私たちは、その一つが「紙に書き出したくなるほど、複雑で込み入った仕事」ではないかと考えています。
すでに整理され、言語化できる仕事は、AIに任せられる部分が増えていくでしょう。一方、複数の条件が絡み合い、そもそも何が問題なのかを定義する必要がある仕事では、人間が自ら問いを立て、考えを深めることが求められます。紙に書き出すという行為は、そうした複雑な問題に向き合うための方法の一つです。

ここで、もう一つ考えたいことがあります。それは、賢さと鋭さは、必ずしも比例しないのではないかということです。
賢い人は、目の前の問題に対して効率的に答えを出せます。しかし、その場その場の最適解を選び続けた結果、中長期的に見れば、最も重要な目的や本質を見失ってしまうこともあります。
一方、愚直に仕事へ向き合う人は、時間をかけながらも、一度捉えた本質を簡単には手放しません。私の周りにも、こうした姿勢で仕事に取り組み、紙やホワイトボードを使って丁寧に考えを整理している人がいます。必ずしも仕事を速く進めることだけが、優れた成果につながるわけではないと感じています。
AIが目の前の答えを素早く提示できるようになるほど、人間には、前提を疑い、目的を問い直し、本質を見失わずに考え抜く姿勢が重要になるのではないでしょうか。だとすれば、AI時代に人へ残るキーワードは、「愚直さ」なのかもしれません。面倒でも手を動かして確かめること。前提と目的を、自分の言葉で置き直すこと。
そして、これは個人の心がけだけの問題ではありません。組織として、目の前の仕事を効率的に処理することだけでなく、立ち止まって考え、問題の本質に向き合う時間をどれだけ大切にできるか。その姿勢は、組織の見えないOSともいえる「文化」にも関わっています。
まとめ|AIに任せる前に、自分で考える
AIを活用してもToDoが片づかないとき、見直すべきなのはツールの性能だけではないのかもしれません。
ToDoの整理には、何をやるべきかを決める「0→1」、方針を立てる「1→10」、具体的なアクションに落とし込む「10→100」という3つの段階があります。AIは具体的な作業の整理や実行を支援してくれますが、その前提となる目的や仕事の全体像を、人間自身が把握しておくことも重要です。
大切なのは、AIに任せる仕事を増やすことだけでなく、AIに渡す前に何を考えるべきかを見極めることです。
一度、自分の今週のToDoを振り返ってみてください。
- ・何をやるか自体が、まだ決まっていない仕事はありませんか?
- ・その仕事の目的や全体像を、最後に整理したのはいつでしょうか?
- ・AIが出したToDoを、自分の理解と照らし合わせて確認できていますか?
- ・紙に書き出したくなるほど複雑な仕事に、最近向き合いましたか?
- ・周りにいる仕事の鋭い人は、どのように考えを整理しているでしょうか?
もし身近に、仕事の本質を捉えるのが上手だと感じる人がいるなら、ぜひ一度聞いてみてください。
「ToDoって、どうやって整理していますか? よかったら見せてください。」
その人がどのようにノートやホワイトボードを使い、仕事の全体像を整理しているのかを知ることは、ツールの機能を学ぶのとは違った発見につながるはずです。
AIと働く時代に、私たちが考えるべきことは「どのAIを使うか」だけではありません。自分の仕事の中で、紙に書きたくなるほど込み入った問いに、最後に出会ったのはいつだったでしょうか。
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① AI活用|AIは速いのに、なぜ仕事は進まない?承認待ちの落とし穴
Podcastでも詳しくお話ししています
この記事は、Podcast「天上天下主客反転、ブルドーザーの企業解体新書!」EP49『ToDo管理|デジタルだけでは、思考は深まらない』をもとに、論点を組み替えてまとめたものです。
音声では、ホテルのメモ帳と大判ノートの違いや電子ペンの使い心地、朝に手書きで3ページを書く「モーニングページ」、仕事の鋭い先輩がA4用紙でその日のタスクを整理している話など、記事では紹介しきれなかったエピソードにも触れています。
EP49の音源はこちら
一人ひとりが、「何をやるべきか」を自分で描ける組織へ
今日から始められるのは、AIに渡す前の10分を、A4一枚に戻すことです。チームであれば、会議の最初の10分をホワイトボードの前で「今日の論点は何か」を描く時間にすることで、AIに渡す情報の前提や目的も整理しやすくなるでしょう。
ただし、これを一人の工夫で終わらせず、組織全体で「考える工程」を大切にするには、仕事の進め方そのものを見直す必要があります。処理の速さだけで評価する仕組み、進捗管理の一覧では仕事の全体像が見えにくいこと、論点を考え直す時間が工程として認められていないこと。こうした課題は個人の心がけを超えた、組織の見えないOS=文化の領域です。
Bulldozerは、その見えないOSを、その会社らしさの本質から再設計するカルチャーエンジニアリングに取り組んでいます。現場を巻き込んで業務や職場の要件を定義するワークショップでは、まず模造紙とホワイトボードの前で、「いま何が起きていて、何をやるべきか」を現場の言葉で描くところから始めています。0→1を紙でやる、という今日の話は、その入口の一つです。
一人ひとりが自分の頭で考え、組織として進むべき方向を描ける状態をつくること。 それが、AI時代の組織変革において大切な視点の一つだと考えています。
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