目次
1. なぜ経営計画は“例年踏襲”になってしまうのか
多くの企業で、経営計画が毎年 前年踏襲の数字調整 に落ちる背景には、以下の3つの構造的問題があります。
・上位方針が抽象的で、部門レベルに翻訳されていない
・“未来のありたい姿”ではなく、“今の延長”から計画を作ってしまう
・そもそも「自社らしさ(Origin)」が曖昧で、判断軸が揃わない
つまり、計画の質は「数字の作り方」以前に、 未来をどう捉え、どんな価値を創る組織になりたいか の解像度で決まります。そこで活きるのが、Bulldozerが独自開発したオリジンベースド・アートシンキングです。
2. Bulldozerの「オリジンベースド・アートシンキング」とは?
Bulldozerが独自に提唱する「オリジンベースド・アートシンキング」は、人や組織が自らの起源=オリジンに立ち返り、大切にしてきた価値観や文化、想いを元に、ワクワクする未来を想像し、現在地のアクションに落としていくためのフレームワークです。
1. Origin(起源に立ち戻る)
└ 企業・事業・組織の“本質”や“原点”を明確にする
2. Paradigm Shift(固定概念の再定義)
└「当たり前」を疑い、未来に沿う形に価値観を再構築する
3. Vision(新常識の未来像)
└ 自社らしさを軸に“理想の未来像”を描く
4. Backcast(未来から逆算する)
└ Visionを実現するための現実的道筋と必要アクションを整理する
5. Innovation(未来の浸透・醸成)
└ 組織に新しい行動や価値観を浸透させ、変革を実装する

この枠組みは、「らしさ × 創造性 × 実行性」 を同時に高める思考プロセスであり、 来期経営計画の策定と非常に相性が良いのが特徴です。
3. オリジンベースド・アートシンキングでつくる来期経営計画《5ステップ》
オリジンベースド・アートシンキングは、「とりあえず例年通り」から抜け出すために有効な示唆をもたらします。ステップはたったの5つ。それぞれを以下に説明していきます。。
STEP1:Origin — “自社らしさ”を再定義する(起源に立ち戻る)
最初に、企業・事業の「変わらない核=Origin」を言語化します。
・創業ストーリー
・なぜ存在しているのか
・失ってはいけない価値
・社員に受け継がれてきた文化
Originを定義すると、計画づくりの判断軸が揃い、「前年との差分調整」から脱却できます。
STEP2:Paradigm Shift — 固定概念を疑い、新しい前提を作る
Originを踏まえたうえで、“今までの当たり前”を一度破壊します。
・当たり前と思っているKPIは本当に重要か
・顧客像は本当に今のままで良いのか
・競争ルールは数年後も続くのか
・働き方・提供価値・組織像はそのままで良いのか
このステップにより、「未来のために更新すべき前提」と「残すべき原点」が明確になります。
STEP3:Vision — 自社らしさを軸に“未来像”を描く
Originと新しいパラダイムを統合し、未来の解像度を高めます。
・3〜5年後、顧客にどんな価値を提供しているか
・社会にどんな“良い影響”を残しているか
・どんな文化や行動が根付いた組織になっているか
・どのKPIが高い状態を理想としているか
曖昧なビジョンではなく、 「こうなったらワクワクする」と社員が言えるレベルの具体性 が求められます。
STEP4:Backcast — Visionから逆算し、計画を構造化する
ここで初めて数字・施策に落とし込みます。
・Vision達成に必要なテーマは何か
・各テーマのKGI/KPIは何か
・1年後に到達すべきマイルストーンはどこか
・どの部門に何を担ってもらうべきか
・稟議・根回しが通る論理構造はどう作るか
Backcastのポイントは「現状の延長」ではなく「未来から逆算」することです。
STEP5:Innovation — 組織に未来を浸透させる(実行・習慣化)
最後は、計画を「実行されるもの」にするステップです。
・月次・四半期ごとの振り返り制度
・KPIレビューの標準化
・部門横断の共通言語の設定
・現場が動きやすい資料テンプレート
・経営層と現場のズレを埋める対話機会
Innovationフェーズが成功すると、経営計画は「作って終わり」ではなく会社がアップデートし続ける仕組み へと進化します。
◾️事例紹分析コラム:パナソニック株式会社(Panasonic)
「創業のオリジン回帰」と「社会価値起点へのパラダイムシフト」
パナソニックは2022年のホールディングス制への移行に伴い、創業者・松下幸之助の掲げた「社会生活の改善」というOriginに立ち返りました。同時に、「製品中心」→「社会課題中心」へとパラダイムシフト。
Vision: “くらしアップデート業”として、顧客の生活価値を高め続ける企業へ
Backcast: 事業会社ごとにKPI構造を再設定し、 「エネルギー」「住宅」「家電」などテーマ別に未来像から逆算。
これはまさに、Origin → Paradigm Shift → Vision → Backcast の典型例 といえるでしょう。
出典:
パナソニックホールディングス株式会社(2023)「パナソニックの視点:気候変動問題解決は160年後の子どもたちへの責務」、Panasonic Group、URL:https://news.panasonic.com/jp/stories/17134 (閲覧日:2025年11月21日)
パナソニックホールディングス株式会社(2024)「創業者・松下幸之助が社員に求めた『一商人』としての自覚」、Panasonic Group、URL:https://news.panasonic.com/jp/stories/17164 (閲覧日:2025年11月21日)
パナソニックホールディングス株式会社(2024)「統合報告書 2024」、Panasonic Group、URL: https://holdings.panasonic/jp/corporate/investors/pdf/annual/2024/pana_ar2024j_a4.pdf (閲覧日:2025年11月21日)
パナソニックホールディングス株式会社(2025)「松下幸之助の思考を AI で再現 時代を超えた理念の継承へ 松尾研究所×パナソニック ホールディングス」、Panasonic Group、URL: https://news.panasonic.com/jp/stories/16737 (閲覧日:2025年11月21日)
パナソニックホールディングス株式会社(n.d.)「サステナビリティ経営基本方針と推進体制」、Panasonic Group、URL:https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/management/governance.html (閲覧日:2025年11月21日)
パナソニックホールディングス株式会社(n.d.)「松下幸之助物語」、Panasonic Group、URL:https://holdings.panasonic/jp/corporate/about/history/founders-story.html (閲覧日:2025年11月21日)
4. 今すぐ使える:簡易ワークシート(テンプレート)
こちらは、オリジンベースド・アートシンキングを元にした経営計画の立て方を気軽に体験できるワークシート(一部)となっています。「どこから始めたらいいか分からない」という皆様は、まずはこのワークシートを埋めてみることから、始めてみてください。

株式会社Bulldozerでは、オリジンベースド・アートシンキングのフレームワークをもとに、大企業から中小・オーナー企業まで幅広く経営計画の策定を伴走支援させていただいております。「この先も知りたい!」「全社で体験したい!」と思った皆様は、こちらからお気軽に全ワークシート+資料のダウンロード(無料)をリクエストしてください!
5. まとめ:ワクワクする計画は“Origin”から始まる
経営計画が「例年通り」になるのは、 未来起点の思考プロセスが抜け落ちているから です。Origin → Paradigm Shift → Vision → Backcast → Innovation の5ステップを通してつくった計画は、作業ではなく 組織の未来をつくるクリエイティブな営み に変わります。
6. 来期経営計画ワークショップ
オリジンベースド・アートシンキングを用いて、貴社らしい未来と実現プロセスを共創します。
✔ 経営層と現場の認識を揃えたい
✔ 前年踏襲から脱却したい
✔ MVVと数字がつながる計画をつくりたい
✔ 合意形成をスムーズにしたい
以下よりお気軽にお問い合わせください。
Bulldozer「経営計画策定ワークショップ」
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