目次
1. なぜ今、組織に「プルラリティ」が求められているのか
近年、多様性(Diversity)は多くの企業で当たり前の前提となりました。国籍、専門性、価値観、働き方の異なる人材が同じ組織、同じプロジェクトに関わることは、もはや珍しいことではありません。
一方で、多様性が進んだ組織ほど、意思決定や合意形成の難しさに直面します。現場からよく聞こえてくるのは、次のような声です。
・意思決定や合意形成が、結局は特定の人に依存している
・多様な意見は出るが、まとめきれず議論が停滞する
・トップダウンではスピードは出るが、納得感や創造性が失われる
こうした状況は、個々の能力やコミュニケーションの問題というよりも、「合意形成の仕組み」が多様性に追いついていないことに起因しています。つまり、多様性は「存在」していても、それを組織の意思決定や価値創造に変換する仕組みが不足しているケースが多いのです。そのギャップを埋める考え方として、いま注目されているのが「プルラリティ(Plurality)」です。
2. プルラリティとは何か―多様性との違い
多様性とは、異なる背景や価値観を持つ人が存在している状態を指します。しかしプルラリティは、単に違いがあることを肯定する概念ではありません。プルラリティとは、異なる価値観や利害、視点が同時に存在することを前提に、それらをどのように合意形成や意思決定のプロセスに組み込むかという「設計思想」です。
重要なのは、意見を一つにまとめることでも、対立をなくすことでもありません。むしろ、対立やズレがあることを前提としたうえで、それらを価値創造へと転換するプロセスをどう設計するかが問われます。
プルラリティは、民主主義やテクノロジーの文脈で語られることが多い概念ですが、Bulldozerではこれを組織運営やプロジェクト推進に応用可能な、極めて実践的な考え方として捉えています。
3. 多様な組織が直面する合意形成の限界
多様なメンバーが集まる組織では、多数決やトップダウン型の意思決定が必ずしも機能しません。多数決では、わずかな差で多数派になった意見がすべてを決定し、少数意見が切り捨てられてしまいます。また、声の大きさや役職によって意見の重みが左右され、本当に重要な視点が埋もれることもあります。
こうした合意形成のあり方では、多様性はむしろ摩擦や停滞の原因になりかねません。プルラリティの視点が示しているのは、「どの意見が多いか」ではなく、「その意見がどれだけ強く支持され、なぜ重要なのか」を扱う必要性です。
4. 多元性を活かすための合意形成フレームワーク
Bulldozerでは、プルラリティを理念で終わらせず、組織で実際に機能する形へと落とし込むことを重視しています。そのために、合意形成を三つの段階で設計します。
① 意見を「出す」だけでなく、「構造化」する
まず重要なのは、全員の意見をフラットに引き出すことです。
ただし、単なるブレインストーミングでは不十分です。
・意見の背景にある価値観
・なぜそれが重要だと感じているのか
・どの前提条件に基づいているのか
こうした要素を整理し、暗黙知のままになっている判断軸を可視化します。
② 意見の「強さ」を合意形成に組み込む
プルラリティが提示するのは、単一の手法ではなく「多様な価値観を前提にした合意形成の設計思想」です。
・表面上は少数でも、非常に重要な意見
・多数だが、重要度はそれほど高くない意見
を区別して扱うことが可能になります。
これは「民主的でありながら、合理的」な合意形成を支える重要な視点です。
③ 決定を“学習”に変えるフィードバック設計
合意形成は、決めて終わりではありません。
実行後に、
・なぜその判断に至ったのか
・実際の結果はどうだったか
・次に改善すべき点は何か
を振り返ることで、合意形成プロセス自体が組織の資産になります。
◾️事例分析コラム:Bulldozerにおけるプルラリティの実践事例
Bulldozerには、海外からのインターン生、芸術家、一級建築士など、専門性や文化的背景の異なるメンバーが在籍しています。この環境では、全員が同じ価値観や判断基準を共有することは現実的ではありません。
実際のプロジェクトでは、論理的な視点、感性や身体性に基づく視点、社会的・文化的影響を重視する視点が同時に提示されます。Bulldozerでは、これらを単なる意見の対立として処理するのではなく、合意形成の設計に組み込むことで、新しい価値や方向性を導き出してきました。
5. プルラリティがAI時代の組織資産になる理由
効率化、単一化、自動化が進むAI時代において、組織の競争力はどこに宿るのでしょうか。その答えの一つが、人間同士の違いから生まれる判断や洞察、創造性です。
プルラリティを実践することで、
・これまで言語化されなかった判断軸
・個人に属していた暗黙知
・対立の中にあった価値観
が形式知として蓄積され、組織の学習能力そのものが高まっていきます。これらは、AIでは代替しにくい、人間ならではの価値を活かす基盤となり、組織にとって長期的な資産となっていきます。
6. 多元性を体験する―Bulldozerワークショップのご案内
Bulldozerでは、多元性を活かした合意形成を「理解する」だけでなく、「体験する」ためのワークショップを提供しています。多様な意見をどのように引き出し、どのように合意形成へとつなげていくのかを、実践を通じて体感していただけます。
プルラリティを理念や言葉で終わらせず、組織の実践へと落とし込みたいと考えている方にこそ、ぜひ参加していただきたい内容です。


実際のワークショップの様子
多様性を、扱える組織へ。
その第一歩を、Bulldozerのワークショップで体験してみてください。
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