1. 静かな退職(Quiet Quitting)とは何か?
近年、「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が、メディアやビジネスの現場で頻繁に使われるようになりました。
静かな退職とは、会社を辞めるわけではないものの、与えられた業務だけを淡々とこなし、それ以上の関与や貢献をしなくなる状態を指します。
・会議での発言が減り、新しい提案も出てこない。
・残業や追加業務には消極的で、最低限の成果は出しているものの、どこか距離を感じる。
こうした変化に対して、経営者やマネージャーが「やる気がなくなったのではないか」と不安を抱くのは自然なことです。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
2. 「やる気がない」という見方が見落としているもの
静かな退職状態にある社員の多くは、決して仕事を放棄しているわけでも、成長意欲を完全に失っているわけでもありません。むしろBulldozerがこれまで向き合ってきた現場では、真面目で責任感の強い人ほど、静かになっていくケースが目立ちます。
彼らが抱えているのは、「この仕事が自分にとってどんな意味を持つのか分からなくなった」という感覚です。
成果は求められるけれど、その先にある会社の未来と、自分自身の人生や価値観とのつながりが見えない。その結果、必要以上に踏み込む理由を見失い、距離を取るようになるのです。
つまり、問題の本質は「モチベーションの低下」ではなく、意味の断絶にあります。

3. 静かな退職を生む本質的な原因ー価値観と仕事、組織の断絶
静かな退職が起きる背景には、個人の価値観や動機と、日々の業務、そして組織のビジョンとの間にズレが生じている状態があります。
Bulldozerが支援したあるメーカーでは、優秀な若手社員たちが次第に会議で発言しなくなったという相談がありました。詳しく話を聞いていくと、彼らは会社や仕事に不満を抱えていたわけではありません。ただ、「自分の考えや工夫が、会社の未来にどう影響するのか分からない」と感じていたのです。
仕事はこなしている。しかし、その仕事がどこにつながっているのかが見えない。
この状態が続くと、人は自然と関与の度合いを下げていきます。それが「静かな退職」と呼ばれる状態です。
4. モチベーションを“外から管理する”ことの限界
静かな退職への対策として、評価制度の見直しやインセンティブの強化、1on1の頻度増加などを行う企業も多いでしょう。これらの施策自体が無意味なわけではありませんが、それだけでは根本的な解決にはなりません。
なぜなら、モチベーションは本来「外から与えられるもの」ではなく、「内側から湧き上がるもの」だからです。報酬や評価は行動を一時的に変えることはできますが、「なぜこの仕事をするのか」という問いに答えることはできません。
静かな退職の背景にあるのは、まさにこの問いへの答えが見えなくなっている状態です。
5. 価値観を言語化し、未来につなげるという発想
Bulldozerが提供する「アートシンキング」では、まず社員一人ひとりの過去に目を向けます。
どんな経験をしてきたのか、何に違和感を覚え、何に喜びを感じてきたのか。そうした価値観や動機を丁寧に言葉にしていきます。
そこから次に描くのが、「これからどんな未来をつくりたいのか」という視点です。
個人の価値観と、組織が目指す未来を結び直すことで、今取り組んでいる仕事の意味が再定義されていきます。
このプロセスを経ることで、仕事は「やらされるもの」から「自分が関わる理由のあるもの」へと変わっていきます。
◾️事例紹介コラム | Bulldozerご支援事例:ロジスティード株式会社様
Bulldozerが支援したロジスティード株式会社様の取り組みは、「価値観と言葉の再接続」が組織全体の活力を取り戻すきっかけになった好例です。
ロジスティード株式会社様では、自社が開発・提供するサプライチェーン最適化サービス「SCDOS(Supply Chain Design & Optimization Services)」の価値を、メンバーそれぞれが自分の言葉で語れるようにしたいという課題がありました。社会の変化や顧客の期待を捉えた価値を正しく理解し、自信を持って伝えられる人材を育てることが目的でした。
そこで導入されたのが、Bulldozerによる「エバンジェリスト育成プログラム」です。これは、サービスの生い立ちや背景、社会ニーズとの関係性を丁寧に追体験することで、従来の“役割遂行”ではなく、価値を自分ごととして捉え直す思考プロセスを設計するプログラムでした。
参加者の一人である営業担当者は、当初「SCDOSの価値を説明する自信がなかった」と語っていました。しかしワークショップを通じて、背景や意味構造を深く理解することで、自身の言葉で価値を語れるようになり、営業現場での提案内容も変化しました。最終的には、米国拠点でSCDOSを説明する場面に招かれるまで成長し、チーム全体で価値観を共有する組織への変化が生まれています。 この事例は、ただ「行動量」を増やすのではなく、価値観と言語化が組織の当事者意識と成果につながることを象徴しています。
インタビュー記事: https://bulldozer.co.jp/case_study/896/
6. アートシンキングが生み出す、当事者意識と部門横断の協働
アートシンキングの特徴は、個人の内面に向き合いながら、それを組織全体の対話へと広げていく点にあります。
価値観が言語化され、未来との接点が見えると、人は自然と自分の立場を越えて考え始めます。
営業、開発、管理部門といった枠組みを越え、「同じ未来をつくる仲間」として関わる意識が芽生えることで、創造的なコミュニケーションが生まれていきます。
それは、管理や指示では生み出せない変化です。
7. 静かな退職を「組織変革の兆し」として捉える
もし今、あなたの組織で静かな退職のような現象が起きているなら、それは衰退のサインではありません。むしろ、「仕事の意味を問い直すタイミングが来ている」という重要なメッセージです。
静かな退職を恐れて抑え込むのではなく、その背景にある違和感に向き合うこと。
そこから組織と個人の関係性を再構築できたとき、静かな退職は変革のきっかけへと変わります。
8. Bulldozerが支援できること
Bulldozerは、内発的な動機づけを軸に、社員一人ひとりが仕事に意義を見出し、組織全体が自走していく状態を支援しています。
個人の価値観と組織の未来をつなぐことで、エンゲージメントや創造性を根本から高めていくことが可能です。
9. まとめ
静かな退職は、単なる「やる気の問題」ではありません。
価値観と仕事、そして組織の未来が切り離されてしまったときに現れる、静かなサインです。
そのサインに向き合い、意味をつなぎ直すことができれば、組織はもう一段階、成熟したフェーズへ進むことができます。
静かな退職を、組織の成長につなげたいと考えている方へ。
Bulldozerでは、アートシンキングを通じて、社員の内発的な動機を引き出し、仕事を「自分ごと」に変えるワークショップやプログラムを提供しています。
社員の声なき声を、未来につなげたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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