「何度も会議を重ねているのに、一向に結論が出ない」
「優秀なメンバーが集まっているはずなのに、なぜか組織が前に進まない」
「スタンプラリーのように承認が回っているけれど、本当に意味があるのだろうか」
そんなモヤモヤを感じたことはないでしょうか。
組織の中で意思決定について考えるとき、私たちはつい「何を決めるか」に目を向けがちです。
しかし本当に大切なのは、その前にある「どう決めるか」、そして「なぜその決まり方になるのか」なのかもしれません。
組織変革の現場に携わっていて思うのは、意思決定のスピードや質は、会議の進め方や権限設計だけで決まるものではないということです。
むしろ、その組織の文化や関係性が色濃く表れてきます。
意思決定が進む組織とは
少し身近な例で考えていきたいと思います。
この間友人の結婚式に参加しました。いま私が住んでいるシェアハウスにいた方で、同世代くらい。
それがとっても素敵な式だったんです。無理のない等身大な感じ。だけど二人の想いがあふれる結婚式でした。
そして先日、その二人がうちに遊びに来てくれて、結婚式を振り返ったという話を聞きました。 結婚式の準備期間、驚くほどスムーズに物事が決まっていたそうです。
結婚式といえば、「準備が大変だった」「意見がぶつかった」「何度も話し合った」という話をよく聞く気がします。
だけど、お二人は超大変みたいな感じが一切なく、わりととんとん拍子で決まっていったそうです。「これは違うんじゃない」「どうしてそうしたいの」みたいな会話も、お互いの価値観をすり合わせて、いい結婚式をつくっていくというところにエネルギーが使われている感じでした。
そんな話を聞きながら、「組織も同じかも」と感じました。
組織の中でも、スピードを持って意思決定が進むチームがあります。
価値観を共有していて、軸がぶれないからこそ、組織としての判断がはっきりできる、進んでいく組織が。
議論がないわけでも、
意見の違いがないわけでもありません。
それでも最終的には、自然と前へ進んでいく。
そこには、いわゆる「阿吽の呼吸」のような状態があります。
では、その阿吽の呼吸はどうやって生まれるのでしょうか。
阿吽の呼吸をつくる土台
まず大切なのは、向いている方向が同じであることです。
組織で言えば、ミッション・ビジョン・バリューへの共感とも言えるかもしれません。
部署が違っても、役割が違っても、「私たちは何を目指しているのか」が共有されている。それが組織の中に浸透している。社長も新入社員も、組織が目指す方向性を共有できていて、自分の言葉で語れる。そんな状態が望ましいです。
だから細かな判断に違いがあったとしても、大きく道を外れることはありません。
もう一つ大切なのが、組織や仕事への愛です。
ここで言う愛情とは、感情論ではありません。
「もっと良くしたい」
「この組織の可能性を信じたい」
「お客様や仲間のためにより良いものをつくりたい」
そんな前向きな思いのことです。
同じ方向を向き、組織や仕事を良くしたいと思っている。
だからこそ、人は対話を重ねることができます。
そして、その積み重ねが阿吽の呼吸の土台になっていくのです。
だから生まれる「リスペクト」
良い意思決定が行われる組織には、相手への尊敬があります。
現場を見ていて思うのは、人柄への尊敬とスキルや専門性への尊敬、どちらかではなくこの二つがセットとしてないと本当の意味での「リスペクト」として機能しないということです。
そしてこれは部下から上司だけではなく、上司から部下への「リスペクト」も含みます。いい組織には「相互尊敬」の状態が自然に生まれます。
お互いに尊敬し合っている状態であれば、指摘されたことを素直に受け止め、「自己変容しなくては」となれる。そして方向性がそろっていくことで、力が束になり、より強力な推進力になっていくのです。
リスペクトがある組織では、意見の違いが対立になりません。
なぜなら、「この人は自分とは違う視点を持っている」「この人の言葉には耳を傾ける価値がある」と思えているからです。
逆に、どれだけ制度やルールを整えても、リスペクトがなければ意思決定は進みません。
相手の意見を聞こうとせず、相手の意図を理解しようともしない。
そんな状態では、議論はあっても対話は生まれないからです。
優れたリーダーほど、自分と異なる意見を歓迎します。
そして立場に関係なく耳を傾けます。
そうした姿勢が、組織全体の意思決定の質を高めていくのだと思います。
阿吽の呼吸をさらに強くする「メタ認知」
リスペクトと並んで重要なのが、メタ認知です。
自分自身を客観的に捉える力と言い換えてもよいでしょう。
経験を重ねると、人はどうしても成功体験に引っ張られます。
しかし、本当に成長し続ける人は、自分の考えや判断を疑うことができます。
「もしかすると、自分が見えていないものがあるかもしれない」
「別の考え方にも価値があるかもしれない」
そう考えられる人同士の対話は、とても建設的です。
経験から得た知見と新しい視点が混ざり合い、より良い意思決定につながっていきます。
そして、その積み重ねが組織全体の学習につながっていくのです。

いい意思決定のために必要な4つの要素がそろって生まれる「阿吽の呼吸」
ミニマルに今日から始められること
本来、意思決定が進む組織には、共通の方向性があり、組織や仕事への愛があり、リスペクトがあり、メタ認知があります。
そうした関係性の積み重ねが、阿吽の呼吸を生み出します。
しかし、文化や関係性は一朝一夕につくれるものではありません。
だからこそ、まずは小さく始めることが大切です。
その一つが、「決め方を決める」ことです。
この会議は何を決める場なのか。
誰が最終的に意思決定するのか。
参加者に望んでいることは何なのか。
どの状態になれば会議は終了なのか。
そんな基本的なことを事前に握るだけでも、会議の質は大きく変わります。
目的がぶれなくなるからです。

ゴールが設定されず、まとまらない会議
例えば、新規事業の会議をするとしましょう。
会議の冒頭に
「今日は新規事業のためのアイディア出しが目的です。方向性を一つに絞るというよりも、様々な観点からアイディアを出してほしいと思います。
ただ前回の会議で確認した新規事業のコンセプト、ここはぶらさずにいきましょう。このコンセプトを反映したアイディアが欲しいと思います。
今日の会議は1時間です。いまから10分各々付箋にアイディアを書きましょう、その後20分で発表しつつ分類をしてみましょう。そのあとの30分は様子を見て使い方を決めたいと思います。」
このような発言があるだけで、会議へのコミットが変わってくるでしょう。
そして、その積み重ねがやがて組織の文化となり、より良い意思決定につながっていきます。
決め方が曖昧な組織では、同じ議論が何度も繰り返されます。
誰が決めるのかが分からない。
何を基準に判断するのかが共有されていない。
そもそも何を決める会議なのかが曖昧。
こうした状態では、どれだけ優秀な人が集まっていても意思決定は前に進みません。
一方で、方向性を共有し、お互いをリスペクトし、自分自身を客観視できる組織では、「どう決めるか」についての共通理解が少しずつ形成されていきます。
組織の成長とは、人が増えることだけではありません。
より良い意思決定を再現できる状態をつくること。
その意味で、「決め方を決める」とは会議運営のテクニックではなく、組織文化を育てるための第一歩なのだと思います。
意思決定の問題は、単なる会議運営の問題ではなく、組織の文化や関係性にまで及ぶ問題です。
もし皆さんの組織でも、「なかなか物事が決まらない」「会議をしているのに前へ進まない」といった課題を感じているのであれば、一度「何を決めるか」だけでなく、「どう決めるか」「なぜその決まり方になるのか」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
Bulldozerでは組織づくりや文化浸透、コミュニティづくりに関するご相談も承っています。意思決定や組織運営に課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
▼組織のプロと改めて自社組織を見直す
https://bulldozer.co.jp/contact/
また、今回の内容はSpotifyでも詳しくお話ししています。記事では伝えきれない対話のニュアンスやエピソードもありますので、ぜひあわせてお聴きいただければと思います。
▼Spotify
「決め方を決める」を避ける組織の末路 〜なぜ会議しても決まらないのか〜
https://open.spotify.com/episode/0VaGiQjxsXPZ8e1OCftE0k
他のおすすめ記事をみる
Contact
資料のダウンロード・
お問い合わせはこちらへ
「アート思考、良さそうだけどピンときてない・・・」「うちの組織にどう適用したらいいかわからない」
そう思うのは自然なことです。どんなことでもお気軽にご相談ください。