1. なぜ今「企業文化は戦略に勝る」のか
「戦略は正しいはずなのに、なぜか現場が動かない」
「新しい施策を打ち出しても、結局元に戻ってしまう」
多くの企業で、こうした声が聞かれます。
ピーター・ドラッカーの言葉として知られる”Culture eats strategy for breakfast” 「企業文化は戦略に勝る」というフレーズは、単なる名言ではありません。変化の激しい現代において、戦略の優劣以上に、それを実行する組織の文化そのものが成果を左右するという現実を鋭く突いています。
特に、大企業の管理職層や中堅・中小企業の経営者、人事・業務改革を担う部門ほど、この壁に直面しているのではないでしょうか。
2. 変革が進まない企業に共通する構造的課題
Bulldozerがこれまで多くの企業と向き合う中で見えてきたのは、変革が進まない企業には一定の構造的な共通点があるということです。
たとえば、ビジョンやMVV(Mission・Vision・Value)が掲げられてはいるものの、現場の判断や行動と結びついていないケースがあります。また、本来は「何のためにやるのか」という目的から考えるべきところが、施策やツール導入といった手段が先行し、結果として変革が形骸化してしまうことも少なくありません。
さらに、部門や階層ごとに暗黙のルールが存在し、挑戦や問題提起が抑制されている組織では、表面的には動いているように見えても、本質的な変化は起きにくくなります。こうした状態の根底にあるのが、「企業文化が描かれず、共有されていない」という問題です。
これらは一見すると戦略や制度の問題に見えますが、突き詰めると企業文化の問題であるケースが非常に多いのです。
3. 企業文化とは何か─誤解されがちなポイント
企業文化という言葉から、「雰囲気が良い・悪い」「価値観が合う・合わない」といった抽象的な印象を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、本質的に企業文化とは、組織の中で無意識のうちに繰り返されている思考と行動のパターンを指します。
たとえば、会議の場でどこまで率直な意見を言ってよいと感じているのか、失敗したときに学びとして扱われるのか、それとも責任追及の対象になるのか。あるいは、顧客価値と上司の意向のどちらが優先されやすいのか。こうした日常の小さな判断や振る舞いの積み重ねが、企業文化を形づくっています。
つまり企業文化とは、経営者や管理職が意識していなくても、常に組織の意思決定や行動を方向づけている力だと言えます。だからこそ、戦略以上に強い影響力を持つのです。
4. 企業文化が戦略を上書きしてしまうメカニズム
どれほど論理的で優れた戦略を描いても、それが現場の文化と噛み合っていなければ、実行段階で歪みが生じます。
例えば、
・挑戦を掲げながら、失敗を許容しない評価制度
・顧客志向を謳いながら、社内調整を優先する意思決定
このような状態では、戦略よりも「これまでのやり方」のほうが強く作用します。結果として、戦略は資料の中に残り、現場は従来の行動を繰り返す。これが「企業文化は戦略に勝る」と言われる所以です。
5. 企業文化を「デザインする」という考え方
重要なのは、企業文化は自然発生的なものではなく、意図的にデザインできるという視点です。
企業文化をデザインするとは、
・どんな未来を目指すのか(理想の状態)
・現在の文化はどこにあるのか(現状)
・そのギャップは何か
を明らかにし、日々の意思決定や行動基準に落とし込んでいくプロセスです。
ここで鍵となるのが、経営層だけで完結させないこと。現場を巻き込み、自分ごと化を促す設計がなければ、文化は変わりません。
6. 現場を巻き込む企業文化改革の実践ステップ
Bulldozerでは、企業文化改革を「段階的なプロセス」として捉えています。最初に行うべきは、目指す未来像やMVVをあらためて見直し、行動レベルで語れる言葉に落とし込むことです。抽象的な理念のままでは、現場は自分ごととして捉えられません。
次に重要なのが、現場のリアルな声を可視化することです。サーベイやワークショップを通じて、組織の中にある暗黙の前提や「当たり前」を言語化することで、現在の企業文化が初めて見えてきます。
その上で、理想と現状の間にどのようなギャップがあるのかを整理します。価値観、意思決定の基準、評価や育成の仕組みなどを照らし合わせることで、文化的なズレが明確になります。
最後に、それらを日常業務にどう組み込むかを設計し、対話を重ねながら定着させていきます。一方的なトップダウンではなく、現場との対話と試行錯誤を繰り返すことで、企業文化はスローガンから行動の基準へと変わっていきます。

7. 企業文化改革がもたらす組織の未来
企業文化が整い始めると、戦略は初めて本来の力を発揮します。現場が目的を理解したうえで自律的に判断し、行動できるようになるためです。その結果、部門間の摩擦が減り、意思決定のスピードも向上していきます。
また、挑戦に対する心理的なハードルが下がることで、新しいアイデアや改善提案が生まれやすくなります。これは単なる「雰囲気の改善」ではなく、変化に強い組織体質をつくることに直結します。
企業文化改革とは、短期的な施策ではなく、企業の競争力そのものを底上げする中長期の経営テーマなのです。
8. まとめ
・変革が進まない原因は、戦略ではなく企業文化にあることが多い
・企業文化は無意識の行動パターンであり、戦略を上書きする力を持つ
・企業文化は意図的にデザインし、現場を巻き込むことで変えられる
「企業文化は戦略に勝る」という言葉を、単なる名言で終わらせないことが、これからの組織変革には不可欠です。
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