最近注目が集まる〇〇思考の中でも「アート思考」は耳にすることがあるけれど、アート思考はなぜ必要なのか、よくわからないという方もいらっしゃると思います。
本記事では、アート思考が得意とする意識改革に関して、その必要性を過去から現代までの時代文脈も踏まえながら解説していきます。
そもそもアート思考とは
アート思考とは、アーティストが社会への問題提起や未来への提案を作品に込めて表現するプロセスをビジネスにも応用する思考法です。
創業者思考とも呼ぶことができ、これまでにない価値を創出することに適したアプローチです。
自分・自社の個性を活かし、過去・現在の常識にとらわれない新価値を想像することの必要性が指摘される中、アート思考への注目も高まっています。
アート思考の詳細に関しては、下記のリンクからお読みいただけます。本記事と併せて、ぜひご覧ください!
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【未来人材ビジョン】これからの時代に求められる力とは
アート思考がどういったものかをおさらいしたところで、本章では経済産業省が発表している「未来人材ビジョン」などを参考に、これからの時代に求められる力を考えていきたいと思います。
日本の労働市場の現状と予測
AIやロボットが加速度的に普及している中、「日本の労働人口の49%が将来自動化される」との予測があります。数字だけで考えるとイメージしにくいかもしれませんが、みなさんが日々行なっている仕事の約半分が自動化されるということになります。
また、日本の生産年齢人口は2050年には現在の2/3となるとされています。
そして高度外国人から選ばれない国になっている今、外国人労働者は2030年には日本各所で不足すると考えられています。
一方、日本企業の従業員エンゲージメントは世界平均が20%の中、日本は5%と際低水準。「現在の勤務先で働き続けたい」と考える人もアジア・オセアニア圏で最低水準でかつ、「転職や起業」の意向をもつ人も同圏内で最低水準となっています。
総じて、日本人の働く意欲が下がっているといえるでしょう。
その要因としては、社内や転職における賃金体系や企業も個人も学びに対する意欲が低いことが指摘されています。その結果として日本の人材の競争力は低下し、日本の国際競争力も過去30年で1位から31位に下落しています。
このような不確実な将来を目の前にしながら、日本国内での働き方改革やリスキリング、AI・ロボットとの共生のあり方への関心が高まっています。
日本が外国人から見て魅力的な国であり続け、より少ない人口でも社会を維持していくためには、社会システム全体の見直しが必要とされているということです。
イノベーションが起きない日本企業の構造
日本企業の構造に関しては、「イノベーションが起こりにくい」という問題も指摘されています。
戦後間もない1950年代は、国の復興とともに各社が創業し、会社に関わる各人が団結しながら成功経験を積んでいました。この頃の企業人は、戦後の何もないところから創業し、製品やサービスを開発することでイノベーションを経験した「イノベーション経験層」とされています。
1970年代になると、高度経済成長を迎え、イノベーション経験層は引き続きビジネスモデルの創出と確立に勤しみました。イノベーション経験層に次ぐ層を「第2の層」と名付けた場合、彼らはイノベーション経験層の指示を忠実に実行することで企業を支えました。
1990年代になると会社を創業したイノベーション経験層がリタイアし、第2の層が上層部隣、新しく「第3の層」が社内に入ってきます。バブル崩壊と低迷の始まりを迎える中、第3の層は危機感を持ち、新しい提案を出しますが、第2の層はイノベーション経験層の指示に従って会社を動かしてきた層のため危機感が薄く、その提案を潰すという構図となっていきます。
2010年代になり、失われた20年を目の当たりにする中、新たに入ってきた第4の層は気概がありつつも、危機感を感じている一方で成功体験を持っていない第3の層と第2の層の一部を経験不足から押し切ることができないという状況に陥りました。
このように、日本のイノベーションは終戦直後の時代を切り開いた層によって行われ、その後経済成長の最中で若手時代を経験した層を最後に、イノベーションを起こせない負の連鎖が続いてきたことがわかります。
2020年代に入ってから現在まで、日本だけでなく世界はコロナ禍に陥り、経済もさらに悪化しています。
AIが人間の能力を超えるシンギュラリティも起こるVUCAの時代を迎える中、この負の連鎖を断ち切るために行動することが急務となっています。
参考:ドリーム・インキュベータ執行役員・三宅考之氏より
企業が取り組むべきこととは
そんな中で、企業が取り組むべきことは何か。どのような人材を育てていけば良いのか。
次の社会を形づくる若い世代に求める力として、未来人材ビジョンの中では以下の要素が挙げられています。
「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」
「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」
「グローバルな社会課題を解決する意欲」
「多様性を受容し他者と協働する能力」
このように、根源的な意識・行動面に至る能力や姿勢が求められていることがわかります。
そして、これまでは「注意深さ・ミスがないこと」、「責任感・まじめさ」が重視されてきましたが、デジタル化や脱炭素化の影響から、将来は「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」が一層要求されるようになっていくといわれています。みなさんも、10年前と現在を比較してみて、必要とされるスキルセット等の変化は感じますか?
参考:経済産業省 「未来人材ビジョン」
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
【STEAM教育】変わりゆく時代の新しい教育
STEAMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。
文理という枠を超えて分野横断的に学ぶことで、科学・技術分野の経済的成長や革新・創造に特化した人材育成、複雑性を増す現代社会に生きる市民の育成に役立つ教育理念と考えられており、文部科学省も重要視しています。
この教育理念の特徴は、理数教育に創造性教育を加えたものであることです。これまでにも理数教育はありましたが、そこに創造性教育、つまりArtsをプラスしたことに際たる特徴があります。
このArtsは、これまでの美術の科目での学習範囲にとどまらず、舞台芸術や視覚的芸術、グラフィックアートなど、芸術性や創造性を育むための幅広い分野が含まれています。
さらにSTEAM教育でのArtsには、「教養」という意味をもつ「リベラルアーツ」も含まれており、人文科学、社会科学、自然科学、学際・総合科学といった広い分野の学びも求められます。
Artsの領域では学問分野を縛らず、幅広い知識に触れ、興味を引き出す教育を行うために、テーマ研究の発表やブレインストーミングなど、リサーチ力や表現力を鍛えることが重要とされています。
「アート」と聞くと、直感的であったり、感性に頼る部分が多いものだとイメージされる方も多いかもしれません。しかし、幅広い知識を取り入れ文脈を捉えながら、新しい価値を生み出す発想力や創造力を追求することが重要視されているため、Artsの領域にはリベラルアーツが加えられています。
このように、AIやロボットによる労働の自動化が進み、イノベーションが衰退する日本において、次世代の教育方針も見直されており、創造力や表現力を培う必要性も高まっています。
アート思考による意識改革の必要性
前述でご紹介したSTEAM教育は、次世代の教育方針の一貫にあたるものでした。
しかし、今日から実践を伴って日本を動かしていくのは、現在生産年齢人口に該当する世代です。
したがって、STEAM教育などを通して次世代への投資を検討していくと同時に、現在の生産年齢人口にあたる人々の意識改革を行わなければ、現在陥っている負の連鎖を断ち切ることはできないのです。
冒頭でもご紹介したように、アート思考は、創業者思考とも呼ぶことができ、これまでにない価値を創出するに最適な思考法です。
さらに、弊社(株)Bulldozerでは、「オリジンベースド・アートシンキング」をコンサルティングに活用し、自分・自社の存在意義から未来洞察を行うことから、100年後にも普遍性を持って通用する価値の創出をご支援しています。
変化の多い時代の中で生き残っていくために、STEAM教育にも取り入れられているように、アートからもたらされる創造力の重要性も増しています。
自分・自社の個性を活かし、過去・現在の常識にとらわれない新価値を想像するために、アート思考を活用していかれれば、グローバル市場における日本の存在感を取り戻す第一歩になると思います。
未来を担うお子様にとって、ご両親との会話も一人ひとりの能力や未来に大きく影響を与える要素です。まずは、親世代がSTEAM教育を身につけて家庭内での会話を変えていくことが、非常に効果的ではないでしょうか?
下記のリンクからご覧いただけるSTEAM教育とアート思考に関する記事も、代表尾和が執筆しています。本記事と併せて、参考にしていただけたら幸いです!
参考)https://benesse.jp/kyouiku/202201/20220123-1.html
まとめ
経済産業省や文部科学省も示しているように、AIやロボットと人間が適切に共生していくためには、人間ならではの能力をさらに伸ばしていくことが求められています。
人間ならではの能力とは、過去から現在までの文脈にとらわれず、今までにない価値を生むための想像力と創造力と表現力ではないでしょうか。
その力を現在社会で活躍する皆さんとともに探求していく道のりには、アート思考が不可欠であるとお分かりいただけたでしょうか。
アート思考にさらにご興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽に下記のフォームよりお問い合わせをご希望ください。
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