アート思考は昨今注目され始めた前衛的な思考法と思われがちですが、実は昔から企業の創業者の人たちの中には根付いてきたものです。
歴史上の偉大な創業者たちの歩みを紐解くと、アート思考的な発想から生まれた事業・企業がいかに多いかがわかってきます。
本記事では、歴史上の人物の発想からアート思考の意義を解説し、また実際にアート思考を導入した企業の事例を取り上げていきたいと思います。
名だたる創業者にみるアート思考
日清食品 安藤百福
アート思考的な発想力をもった人物として、まず日清食品グループの創業者 安藤百福をご紹介します。
安藤百福は、戦後の食糧難の中人々が復興に向かって邁進していた時代に、手軽に素人でも食べられるチキンラーメンを開発しました。当時、ラーメンは屋台で食べるもので、家庭で食べられるものではありませんでした。また今のようにインスタント麺はなく、お湯を注ぐだけで食べられる麺という概念はどこにもありませんでした。
その後、忙しく働きまわる日本人が片手で食べられる食事をと考え、カップヌードルが誕生します。それが次第に世界へと広がり、カップヌードルは地球上どこでも食べられる即席麺となりました。そして今や、カップヌードルは宇宙食にもなっています。
安藤百福が当時既存の概念から食品を開発していたら、おにぎりを真空パックに入れる、というような商品開発になっていたかもしれません。彼は、提供すべき価値の本質を見抜き、適切な提供方法で提案を行えたからこそ、チキンラーメン、カップヌードル等の大発明を実現できたのです。
「食足りて世は平らかとなる。」という彼の言葉からは、生き物としての人間の原点に立ち返りながら、即席麺という大発明を実現した彼の想いを感じることができます。
アート思考的注目ポイント
「ラーメン」を再定義し、「ラーメン」の民主化を実現した!
ブリヂストン 石橋正二郎
タイヤメーカーのイメージが強いブリヂストンですが、タイヤの製造に至るまでには足袋やゴム底の靴を製造販売していた時代もありました。みなさん、ご存知でしたか?
ブリヂストン創業者の石橋正二郎は、一貫して「会社は公器である」という信念を持っていたといいます。
それは、「勤労階級の履物改良が一番世の中のためになるのではないか」という考えによる地下足袋の製造、「ゴム底の布ぐつや長靴などを安価に供給すれば、大衆の生活に益するに違いない」との想いからのゴム靴製造に表れています。
また、「将来は国産自動車が沢山作られて、500万代でも1000万代でも走る時代がくる」という読みのもとタイヤ事業に進出したのも「原材料を輸入するゴム業界こそが、輸出によって外貨を稼がなければならない」という先見性や使命感があってのものでした。
タイヤ製造への進出などにもわかるように、石橋正二郎は未来の洞察力にすぐれ、なおかつ「会社は公器である」という信念を基盤に事業展開を行っていった人物です。
自分・自社の軸となる価値観の上に、未来洞察力をもって思考していくことはアート思考で行う思考プロセスそのものです。
石橋正二郎が「将来ゴム産業として大きく伸びるのは、なんといっても自動車タイヤだから、これを国産にしたい」という理想の未来像や信念を持っていなかったら、つまりアート思考の力を持っていなかったら、ブリヂストンは世界的なタイヤメーカーにはなっていなかったかもしれません。
彼の独自の技術によって顧客満足を実現しようとする想いは、彼が遺した言葉にも表れています。
「ユーザーには常に独創の技術をもって満足を与えること」
アート思考的注目ポイント
信念を起点にした適確な未来洞察力!
ソニー 井深大
トランジスタラジオ、ポータブルテレビ、ウォークマンなど、世界を席巻する商品を生み出してきたソニーもまた、アート思考を実践してきた会社といえます。
ソニー創業者の井深大は「人がやらないことをやる」という理念を持ち、大企業と競うことは到底できないからこそ、大企業が手をつけない研究や新製品開発に注力した人物たちです。
その理念は、井深や盛田が世を去ったあとも、遺伝子のように社内で受け継がれ、世界的なヒット商品を生み出してきたのです。
誰もやったことがなく、誰もやらないことをやるという信念があったからこそ、生み出せた価値があったということでしょう。
そのほかにも創業者の井深大、並びに井深と共同でソニーの創業を支えた盛田昭夫は多くの言葉を残しています。
「ほかの技術陣がやっていないなにかを生み出したい、必ずできるはずだ」(井深)
「マーケットに合うような商品を作っていたのでは遅れをとる」(盛田)
上記の井深大の言葉は、前述してきた内容をそのまま写し出したものですが、盛田昭夫の言葉もアート思考的な発想力・思考力の重要性を表す言葉と解釈することもできます。
現在、市場は製品・サービス、そして企業に溢れ、新しいものに出会う時の感動やトキメキが少なくなっています。また、各社が移り変わりの早いトレンドを追って製品を開発し、どの製品も似たり寄ったりなものになってはいないでしょうか。
マーケットが求める製品やサービスを作るということは、トレンドに沿ったものを作るということと等しいからです。
盛田は、マーケットに合う商品を作るのでは遅れをとると言っています。今のトレンドにあう商品を作って売ることは、現時点での正解を追えば行えるため、即時的な結果を出すことはできるかもしれませんが、時代を先読みし、次の時代のスタンダードを狙いにいくことはできないという意味で、いずれは遅れをとると言っているのではないでしょうか。
自分・自社の核となる理念を持ちながら、未来洞察を行うことはアート思考が得意とする最たる要素の一つです。
アート思考的注目ポイント
マーケットに迎合せず、誰もやっていないことだからこそ挑戦するスタンス
アート思考の進め方・フレームワーク
ここからは(株)Bulldozerのアート思考フレームワークのステップや、その導入企業様の事例をご紹介します。
弊社のフレームワークは、大きく分けて3つのステップで進めていきます。
ステップ① Why
ステップ② What
ステップ③ How
です。
ステップ① Whyにおけるポイントは、「オリジンによる自分ゴト化」です。
オリジンは、存在意義とも言い換えられます。自分・自社のオリジンを核に、「自分ゴト化して思考できているのか」が重要です。ステップ① Whyで見直した自分・自社の存在意義が、最終的にたどり着くネクストアクションを実行する理由(Why)になっていくからです。
またステップ② Whatのポイントは、「文脈を汲んだ客観性を持ちつつ、ゼロベースかつバックキャストで考えること」です。
バックキャストとは、初めに目標となる未来像を描き、次にその未来像を実現するためのシナリオを未来から現在に遡って考える手法のことです。
過去・現在にとらわれずに、バックキャストで思考したものが、オリジンを原点とした大きな文脈にフィットしているか、という俯瞰する視点を持つことが求められます。
そして、ステップ③ Howでは、「本質的な価値を考えて、ベストな方法で届けられているか」がポイントとなります。
自分・自社の提供価値の本質を見極め、最適な提供手段を選定できているのか、を改めて考え直します。
本質を突いていても、価値の提供手段が理にかなっていなければ、適切に価値を届けることが難しくなるからです。
アート思考のフレームワークや(株)Bulldozerがご提供するプランについて、ご興味をお持ちの方は、ぜひ下記のリンクより資料請求のお申し込みをご検討ください!
アート思考導入事例
(株)Bulldozerの「オリジンベースド・アートシンキング」のワークショップを導入くださった企業様の事例をご紹介します。
1. ダイキン工業株式会社
鳥取大学共創新規ソリューションアイデア検討
参加者の声
- 自分自身が会社の未来を変えたいと思うようになり、海外駐在を決めた
- これまで見つけ出せなかった積極性を発掘する機会になってよかった
2. 大正製薬株式会社
2050年未来像検討とチームビルディング
オリジナルアートの入館証ケースの作成
参加者の声
・普段時間を共にするメンバーでも、個々人のバックグラウンドについては知らないことが多いので、一気に仲良くなれた
・数年前に受けた受けた初めてのワークショップが、今でも自分の方向性や考えの土台になっている
3. アドベンチャーワールド
動物園リソースを活かしたわーケーションプログラム「地球の自分ゴト化」制作
参加者の声
・仕事がどんどん自分ゴト化されていった
・会社の中でやりたいことの解像度があがった
4. 偉人の追体験
東急グループ創始者五島慶太追体験
・追体験をしたことで、創業者も一人の人間として理解することができ、励まされたような気持ちになった。
・コロナ禍以上に激動の時代に生きた人を知り、自分ももっと自らの存在意義を高めたいと思った
『東急グループ創始者の人生を追体験し、新時代を作るための”才能の最大化”無料ワークショップをアート思考のBulldozerが1月14日、15日に渋谷で開催』
まとめ
このように、アート思考は歴史に残る創業者たちが持っていた考え方や発想力であり、前衛的に見える一方で王道の思考法ということができます。
シンギュラリティが起きたVUCAの時代だからこそ、この王道ともいうべき思考法に立ち帰り、人間が特有にもつ能力を改めて活性化させることが求められているのです。
あなたの会社は、どんな成り立ちでしょうか?お勤めの企業の創業者や会社の沿革を調べてみてはいかがでしょうか?
その中で、ここまででご紹介した観点で考えて直してみると、新たな発見があるかもしれません。
・提供価値を再定義した
・未来洞察力を持っていた
・マーケットに迎合せず、挑戦した
あなたの会社の成り立ちの中にも、本記事でご紹介した創業者たちが持っていた上記のような特徴があれば、貴社はアート思考との親和性が高い会社といえるでしょう!
アート思考で“脱常識”な新しい価値を
Bulldozerでは、
・未来創造
・パーパス経営
・イノベーション
・人的資本経営
これらの分野においてアート思考を用いた完全オーダーメイドのワークショップ型コンサルティング、イベント、コンテンツ開発などをご支援しています。
各企業さま・部門・キャリア層に合わせて、これまで手が届かなかった痒いところ、うまく言語化できずにモヤモヤしていたところを、具体的に業務に落とし込む道を開拓します。
ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!私たちはお客様のビジネスやプロジェクトに最適なアート思考のアプローチを見つけるお手伝いをいたします。まずはお打ち合わせで、才能爆発や新たな可能性を感じてください。
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