AI時代の知識と仕事シリーズ②
AI時代のBtoBコンテンツ制作
―社内に眠る知識を“動かす”4つのステップ
コンテンツが増えているのに成果が出ない企業は、「書き方」ではなく「設計」で止まっています。
生成AIの登場によって、コンテンツ制作の環境は大きく変わりました。文章を書くこと自体は、以前よりもずっと簡単になっています。
AIを使えば、構成も文章も短時間で作れるようになりました。実際に、多くの企業がAIを活用したコンテンツ制作に取り組んでいます。
ただ、その一方でこんな声もよく聞きます。
AIを使えば記事は作れるが、何を書けばいいのかわからない。コンテンツは増えているのに、競合と似た内容になってしまう。自社の専門性がうまく伝わらない。
これらの問題は、文章の質ではなく、もっと手前に原因があります。
知識は社内にあるのに、眠ったままになっている。
前回の記事では、AI時代のコンテンツ戦略について整理しました。
⇒【前回記事】AI時代のコンテンツ戦略 ―企業のアイデンティティから始めるBtoBマーケティング
これからのコンテンツは、単なる記事ではなく、企業の知識を社会に共有するものになっていきます。
今回はもう一歩踏み込み、企業の中にある知識をどうやってコンテンツとして動かしていくのかを考えていきます。
1. 多くの企業は「知識を持っている」が「使えていない」
BtoB企業の現場には、すでに多くの知識が存在しています。営業が日々受けている相談や、プロジェクトの中で得た経験、何度も繰り返し説明している内容。それらはすべて価値のある情報です。
しかし、その多くは現場の中にとどまり、外に出ていきません。
その結果、コンテンツ担当者はネタに困り、記事は場当たり的になり、AIを使っても似たような内容が増えていきます。
コンテンツがうまくいかない理由はシンプルです。
社内にある知識が、流れないまま眠っている。
コンテンツ設計とは、この流れをつくることでもあります。
2. AI時代のコンテンツ制作は「知識を動かす仕事」
生成AIによって、文章を書くことは大きく効率化されました。構成を考え、文章を整え、情報をまとめることはAIが得意とする領域です。
一方で、AIにはできないことがあります。それは、どんな知識を使うのか、どんな視点で語るのか、何を問いとして提示するのかを決めることです。
だからこそ、これからのコンテンツ制作は「書く仕事」ではなく、「知識を動かす仕事」へと変わっていきます。
3. 企業の知識には「流れ」がある
企業の知識は、ばらばらに存在しているわけではありません。実は、ある一定の流れを持っています。
まず起点になるのは、業界全体で共有されている知識です。たとえば「DXとは何か」「なぜ業務改善が必要なのか」といったテーマは、多くの企業が同じように説明しています。
そこに、自社ならではの考え方や方針が加わります。同じDXでも、どこから着手すべきと考えるのか、何を重視するのかは企業によって異なります。
そして最後に、その考え方が現場でどのように実践されているかという実務の知識があります。どこでつまずくのか、どうすれば前に進むのかといった具体的な経験です。

この中で、コンテンツとして価値を持つのは後者の2つです。特に「企業の視点」は、同じテーマであっても他社と差を生み出す要素になります。
4. BtoBコンテンツ設計の4ステップ
ここからは実務の話です。
企業の知識をコンテンツにするには、単発の記事を作るのではなく、知識が流れるプロセスを設計する必要があります。
STEP1 現場から知識を拾う
最初にやるべきことは、テーマを考えることではありません。現場にある知識を拾うことです。
例えば営業の現場では、「ツールを導入したのに現場で使われない」といった相談が繰り返し発生していることがあります。この時点ですでに、価値のある知識の種が存在しています。
重要なのは、コンテンツのために新しく考えるのではなく、すでにあるものに気づくことです。
まずは営業に「最近よく聞かれた質問を3つだけ教えてください」と聞いてみてください。
そこに、すでにコンテンツの種があります。
STEP2 知識に意味を与える
拾った知識は、そのままでは断片的な情報に過ぎません。それをコンテンツにするためには、意味づけが必要です。
まずは「なぜ?」をキーワードに深堀していきましょう。
例えば「ツールが定着しない」という事象に対しても、なぜそれが起きるのかを考えていくと、導入プロセスの問題なのか、現場の理解不足なのか、あるいは評価制度に原因があるのかといった構造が見えてきます。
そしてそれを「なぜDXツールは現場に定着しないのか」という問いとして提示することで、知識は読まれる形になります。
STEP3 テーマとして広げる
ひとつの問いが生まれると、そこからコンテンツは広がっていきます。
例えば「定着しない理由」というテーマからは、導入時の失敗パターン、現場での摩擦、マネジメントの問題など、複数の切り口が見えてきます。
こうしてテーマを広げていくことで、コンテンツは単発の記事ではなく、知識のまとまりとして蓄積されていきます。
STEP4 知識が流れ続ける仕組みをつくる
最後に必要なのは、この流れを止めないことです。
一度知識を整理しても、新しい情報が入ってこなければコンテンツはすぐに止まってしまいます。営業やプロジェクトの現場から継続的に知識を拾い、それを言語化していく仕組みが必要です。
ここまで設計できてはじめて、コンテンツは継続的に機能します。
5. AIと人間の役割分担
実際の制作では、AIと人間の役割分担をどう設計するかが重要になります。
例えば、記事のテーマや問いを人間が考え、構成や文章の作成をAIに任せるという進め方もありますし、逆にすべてを人間が担うケースもあるでしょう。
どこまでをAIに任せ、どこを人間が担うのか。そのバランスは企業やチームによって異なります。
重要なのは、自社にとって最適な役割分担を考えることです。
ただし実際には、「どうやってこの体制を作るのか」でつまずく企業が多いのも事実です。どこから知識を集めるのか、誰が編集するのか、AIをどこまで任せるのか。
こうした判断は一度決めれば終わりではなく、運用の中で調整していくものです。
このあたりの設計も含めて、Bulldozerでは支援しています。
6. コンテンツ設計チェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、自社のコンテンツの状態を振り返ってみてください。
チェックポイント1 知識の出発点
□営業や現場から「よくある相談・質問」を言語化できているか
□プロジェクトでの失敗やつまずきを、コンテンツのネタとして拾えているか
チェックポイント2 知識の変換
□現場の情報を「なぜ起きるのか?」まで分解できているか
□その内容を、読者が読みたくなる“問い”として表現できているか
チェックポイント3 テーマ設計
□単発の記事ではなく、同じテーマで複数の記事を展開できているか
□記事同士がバラバラではなく、関連性を持ってつながっているか
チェックポイント4 知識の流れ(運用)
□営業や現場から定期的に情報を拾う仕組みがあるか
□コンテンツのネタが「人任せ」になっていないか

もしこれらの問いに答えづらい場合、コンテンツ制作の前に「設計と運用」を見直す必要があるかもしれません。
7. 社内に眠る知識を“動かす”仕組みを作る
企業の中には、多くの知識があります。しかしそれが整理され、流れていなければコンテンツにはなりません。
コンテンツ制作とは、記事を書くことではなく、
企業の知識を集め、意味づけし、社会に流す仕事です。
そしてそれには仕組み作りが欠かせません。
上のチェックリストに答えづらい場合、設計そのものを見直す必要があるかもしれません。
多くの企業では、
知識はあるのに言語化されていない。
現場の情報がコンテンツに活かされていない。
テーマが場当たり的になっている。
といった状態が起きています。
もし心当たりがある場合、
問題はコンテンツの中身ではなく、
コンテンツ設計そのものにある可能性があります。
Bulldozerでは、企業の知識の整理からテーマ設計、
そして継続的に発信できる仕組みづくりまで、コンテンツ設計全体を支援しています。
AIによって「書くこと」は簡単になりました。
だからこそ重要なのは、何を書くのかをどう設計するかです。
コンテンツは増えているのに成果につながらない。
その原因は、作り方ではなく設計にあるかもしれません。
自社の中に埋もれているノウハウを、コンテンツとして使える形に整理してみませんか。
コンテンツが機能していない場合、問題は中身ではなく設計にある可能性が高いです。
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