本セミナーでは、「インパクト志向」と「アート思考」という2つの軸を掛け合わせたアプローチを採用し、自社の「企業価値」を創造的に再定義するプロセスを設計しました。GLIN Impact Capitalの中塚一徳様より「インパクト志向」について、弊社代表の尾和より「アート思考」について、それぞれの専門的な視点からご紹介いたしました。
インパクト志向とは
インパクト志向とは、企業や金融機関などの組織が生み出す社会的インパクトを包括的に捉えて環境・社会課題解決に導くという考え方です。単なるESG対応やコンプライアンスではなく、自社の事業活動が社会にもたらす正負のインパクトを包括的に理解し、組織として生み出したい環境・社会課題解決へのインパクトを経営に取り込むというアプローチ方法です。昨今、経済的利益よりも、生み出されるインパクトを重視する投資家をはじめとするステークホルダーが増えてきており、長期的な企業価値の向上には、インパクト志向のアプローチがより重要となります。

アート思考とは
アート思考とは、アーティストが作品を生み出す際の自分目線で独創的な思考をメソッド化し、ビジネスに応用する思考法です。Bulldozerが提唱するオリジンベースド・アートシンキングは、個人や会社のオリジン(起源・価値観)を起点に、まず「理想の未来」を想像し、その実現に向けてバックキャストで考え具現化していきます。これにより、企業や個人の強みや才能、会社の創業理念やパーパス・MVVに基づいた自社の未来像を創造し、それの達成に必要なアクションを経営層から現場まで一人ひとりが自分ごと化することができます。
2つのアプローチの掛け合わせ
セミナーでは、インパクト志向とアート思考の共通点や相乗効果について深掘りしました。両者とも「未来からバックキャストで考える」、そして「その未来の企業価値を社内外にストーリーとして伝える」という点で共通しており、これらを組み合わせることで、未来の自社の企業価値と、それを分かりやすく社内外に伝えるストーリーを創り出すことができ、50年後、100年後を見据えた長期的な企業価値の向上に繋げていくことができるとと分かりました。
企業価値向上の体験ワークショップでは、参加者が自社のビジョンや未来像、そこから生み出したい社会的インパクトを見つめ直し、それらを達成するために自社はどういう存在であるべきか(=未来の理想の状態)を、①自社にとって、②ステークホルダーにとって、③社会にとって、という3層から考えました。そして、その未来の企業価値と現在地のギャップを可視化し、ギャップを埋めるための具体的なアクションを考えるというプロセスを体験していただきました。
グループでのディスカッションを通して、自分の組織が置かれている状況や業界の動向、そのなかで考える自社の企業価値や、ワクワクする自社の理想の姿について、異なる組織・業界からの視点を活用しながら活発な意見交換が行われました。普段は自社の既存価値や社内のリソースに頼りがちになってしまう議論も、今回のワークショップでは多様な視点・価値観に触れながら、変革の大切さを再認識していただいたとともに、スピード感を持って話し合いが進む感覚を体験していただきました。
